横河電機株式会社 様

CRMの導入で、顧客情報とその対応履歴を蓄積、活用。熟練スタッフのノウハウ継承を支援し、属人化からの脱却を目指す!

お客様からの様々な問い合わせに、経験豊富な熟練スタッフの高いスキルとノウハウで対応してきた横河電機株式会社様(以下、横河電機様)。属人化解消と経験の浅いスタッフへのノウハウ継承を目指し、バーチャレクス・コンサルティング(以下、弊社)のコンタクトセンターCRM「inspirX(以下、インスピーリ)」を導入。これまでは、熟練スタッフからノウハウを引出すことに試行錯誤していたが、テンプレートやFAQ などの基本機能をフルに活用し、問い合わせ履歴の蓄積から、ナレッジを構築しようという取り組みを開始した。


横河電機株式会社様

導入企業 会社概要

会社名:横河電機株式会社
創 立:1915年(大正4年)9月1日
本 社:東京都武蔵野市
業 種:制御事業、計測事業、航機その他

 横河電機様は、電気計器を祖業とし、日本初の電子式記録計や世界初の分散形制御システムを開発・製造した、日本の計測事業、制御事業の先駆者である。
 「品質第一主義」、「パイオニア精神」、「社会への貢献」という創業の精神は、今もYOKOGAWAグループに受け継がれ、計測、制御、情報の技術を軸に最先端の製品やソリューションを提供し、石油、ガス、化学、電力、鉄鋼、紙パルプ、薬品、食品などさまざまな産業の発展を支えている。

導入サービス・製品
顧客対応業務支援(CRM)ソフトウェア inspirX (インスピーリ)
導入部署 / 規模
レコーダ・小規模計装機器のカスタマサポートセンター / 数十席
適用業務
問い合わせ応対などの顧客サポート業務
CRMシステム導入
までの背景
  • 顧客の情報をデータベース化し、応対履歴を紐付けることで、情報を共有しカスタマサポート業務全体の効率化や品質向上につなげたい。
  • 属人化している応対の履歴を、テンプレートを活用して入力するようにし、ナレッジベース化することで、情報の活用や次代スタッフの育成につなげたい。
  • 日々の問い合わせからFAQになりそうな候補を抽出し、熟練スタッフのノウハウや経験の浅い人の疑問点を加えてFAQを作成できるようにしたい。
導入後の成果
  • これまでマスターが存在しなかった顧客の情報が一元化され、そこに対して電話、メール等のあらゆる応対履歴を紐付けられるようになった。
  • テンプレートの活用で応対履歴の入力フォームの統一化を実現し、熟練スタッフのノウハウや暗黙知、回答の根拠をその場で記入できるようになった。
  • 応対履歴入力時にFAQの候補となり得そうな案件をチェックすると、FAQ候補のデータベースが自動的に作成され、 このデータベース上で加筆・修正ができるので、FAQ作成の効率が非常に向上した。

導入背景と狙い

熟練スタッフのノウハウを継承し、属人化からの脱却、業務を効率化、かつデータを有効活用したい。

 横河電機様のレコーダ・小規模計装製品のカスタマサポートセンターは、顧客からの製品の仕様や使い方など、問い合わせ対応を行っている。横河電機様の製品はレコーダやコントローラなどBtoB向けの製品で、顧客の仕様に応じて品種が多く、また30年以上使用している場合もあり、熟練スタッフのノウハウが欠かせない。
 熟練スタッフの引退時期が迫る中、これまで属人化していた運用を見直し、顧客情報をデータベース化、そして蓄積した応対履歴などをナレッジとしてもっと活用していこうという取り組みを開始した。
 まず既存の汎用データベースソフトに代わる情報管理のためのシステム探しから始めたわけであるが、実現したい要望は、次の3点であった。

    ①【顧客応対の効率化
  • 顧客情報や過去記録の検索性を向上させ、応対を効率化し、無駄な時間を削減したい。
  • 顧客情報をデータベース化し、顧客の所属や問い合わせ内容、履歴を管理し、応対の効率化カスタマサポートの品質向上につなげたい。
    ②【蓄積データの活用、ナレッジベース化
  • 属人化している顧客応対の履歴をナレッジベース化し、活用を促進したい。
  • 記録の中に、熟練スタッフのノウハウや暗黙知、回答の根拠も記入させるようにし、基礎教育を受けただけの経験の浅いスタッフでも、安心して回答できるようにしたい。
    ③【日々の応対の中から、FAQを効率よく作成したい
  • 汎用データベースから、担当者の記憶を頼りにFAQ候補を抽出し、エクセル転記後、FAQ検討会を開催していた。もっと楽にしたい。

 専門の展示会などに来場され、情報を収集、複数社からの提案を受けた上で、社内で議論を重ね、最終的に弊社のインスピーリを採用頂いた。
 インスピーリの導入を決定したことについて、横河電機 IAプロダクト&サービス事業本部 マネージャ 阿部様は次のように語っている。
 「最終的にインスピーリを選んだ決め手はテンプレート管理機能が気に入ったことが大きかったのではないかと思います。テンプレートがあれば、書き込むべき内容も統一化されますし、ある程度、蓄積データの分類もしやすいので、トークスクリプト兼ナレッジのベースにも成り得るのではないか?とりあえず、きちんとしたCRMのパッケージを導入して、そこに業務を合わせていこうと考えました。インスピーリを提供するバーチャレクス・コンサルティングは、自社でコンタクトセンター運営をされているので、そのノウハウを活用してCRMの開発をしているのであれば、利用しやすいに違いないと考えました。」

導入後の効果について

顧客情報と応対履歴を紐付け、一元管理を実現。入力の定型化で、蓄積データをナレッジとして活用可能に!

 インスピーリ導入後の効果はいくつかあげられる。まず、既に一度、顧客情報を入力済みであれば、毎回の入力は不要、電話、メール、どちらの連絡方法を利用しても、顧客情報に紐づいた応対内容と履歴が、容易に確認できるようになる。また、横河電機様では、テンプレートに暗黙知・回答の根拠の項目を設けることにより、今まで記録されることがなかった熟練スタッフのノウハウを文章にするようにしている。情報の共有により熟練スタッフの記録を参考にしたり、他人から意見をもらうことで、スタッフの間でも丁寧に入力しようという気持ちが生まれてきたという。
 そして、今後の業務効率化に大きく寄与するところは、蓄積データを活用したナレッジ、すなわちFAQの作成である。
 「以前は汎用データベースに記入した内容をエクセルにコピーし、スタッフで集まってレビュー・修正後、エクセルのまま利用していました。インスピーリ導入後は、応対内容入力時にチェックをつければ、FAQ候補になります。後日スタッフ同士で精査し、ステイタスを「公開」とするだけで、FAQになり得るので、とても作業が楽になりました。応対入力時にインスピーリ上でFAQを検索することもできます。またテンプレートに暗黙知・回答の根拠の項目を設けたので、応対時に記録した暗黙知・回答の根拠がそのままFAQ候補になります。精査の作業にもプラスαの余裕ができました。」とIAプロダクト&サービス事業本部の和泉様は語っている。
 熟練スタッフのノウハウの継承を推進されている中、インスピーリによる顧客情報一元化と、入力ルールの定型化、さらに蓄積データのナレッジへの活用は、良い循環を生み出しているようである。



■横河電機様における顧客応対履歴データ管理の違い



■横河電機様におけるFAQ作成手順の違い

システム概要

2ヶ月半で、ノンカスタマイズの標準パッケージ導入を実行。安定的に稼働中。

 導入前にコンタクトセンターでのCRM利用を熟知している弊社システム担当者が入念にヒヤリングを行い、今後の展望なども見据えて、必要な要件のみに集約した設計、及び、業務構築支援を行った。
 ノンカスタマイズの標準パッケージ導入(下図参照)ではあったが、効果があれば他部署にも横展開できるようにしたいという横河電機様のご要望があり、表示項目などをユーザ様自身でセルフカスタマイズできる余地を残している。
 カスタマイズをしない代わりに業務フィッティングを手厚く行い、業務とシステムとのギャップを埋めつつ、効果的な活用法を積極的に提案、ユーザ様の業務を全体的に効率化へ導くことができた。
 2ヶ月半で導入完了という弊社のご提案に、当初、懐疑的であった横河電機様も「導入後、パッケージに業務を合わせるという意味では2ヶ月半という短期間では、定義しきれないのではないかと不安でしたが、プロジェクト体制が非常にしっかりしていて、いつまでに何をどう決めなければいけないのかといったことも明確に定義されていた。当社もシステムを扱う企業なので、プロジェクトの進捗管理が徹底されていると認識でき、信頼できた。」と高い評価をいただいている。

今後の展望

新人スタッフ教育の効率化、チャットボットの利用など、更なる生産性向上や運用コスト抑制を目指したい。

 「横河電機のお客様は、ほぼ100%BtoB。レコーダや、コントローラなど、いろいろな製品をご使用頂いている。皆さん、物持ちがよくて20~30年くらい使っていただいていて、かなり古い機種の質問も受ける。実際問題として経験の浅い人がカスタマサポートを行うハードルはとても高いです。インスピーリの導入を機に、新人スタッフの立ち上がりが早くなることを期待しています。 顧客サポートの応対内容は『顧客の生の声』という情報の宝庫であり、当然、他の部署でも常時閲覧したい。何かコストを抑制して、効率よく共有する方法を現在、模索しています。また比較的簡単な問い合わせは、将来的にチャットボットへ展開するということも考えられますし、今回のCRM導入で、社内でも今後の業務整理を考える良いきっかけになりました。」とIAプロダクト&サービス事業本部 課長 梅井様や、マネージャの阿部様は語っている。
 今後も弊社では、CRM領域の知見を活かし、このような横河電機様の展望を全力でサポートしていく予定である。