京阪電鉄不動産株式会社 様
CRM導入による顧客情報一元化、CTI連携で 平均処理時間短縮と業務効率化を実現
従来の独自システムとExcel併用による煩雑な業務運用を見直し、顧客対応の一元管理を目指してCRMを導入。問い合わせ履歴の統合やナレッジの共有、検索速度の向上により、応対時間の短縮やエスカレーション削減を実現。さらにスムーズな対応によって顧客満足度の維持にも貢献している。本記事では、CRM導入の背景や選定理由、導入後の効果について具体的に紹介する。

会社:京阪電鉄不動産株式会社
創立:2000年6月21日
本社:大阪市中央区大手前1丁目7番31号 OMMビル15階
事業内容:京阪沿線を中心とした戸建分譲事業やマンション分譲事業、不動産仲介事業など
2000年に京阪電気鉄道株式会社の不動産販売部門が分離し設立。京阪グループを牽引する不動産業のトップランナーとして、京阪沿線はもとより、沿線外、関西、首都圏、札幌などのエリアにおいても、オリジナルブランドによる不動産事業を展開。マンションや一戸建分譲、個人向けの住まいの仲介等、不動産に関するあらゆるサービスを提供している。また2018年からは海外においても住宅事業をスタート。国内外を問わず、快適で安心かつお客様が誇りを持って暮らせる住宅づくりを目指している。
導入サービス | コールセンターCRMクラウドサービス iXClouZ(アイエックスクラウズ) |
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導入部門/規模 | 事業推進部 マンションサービスセンター/50席未満 |
適用業務 | 分譲不動産(主にマンション)入居者からの問い合わせ対応/管理会社、点検や修繕を担当する施工会社との連絡 |
システム構築前の改善要望 |
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導入後の成果 |
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システム構築の背景と狙い
独自システムとExcelによる属人的対応を改善
京阪電鉄不動産様(以下、京阪様)は、分譲住宅やマンションの販売、仲介等を手掛ける統合デベロッパー企業だ。京阪電鉄沿線をはじめ、関西圏や首都圏、札幌などのエリア、さらに海外にも幅広く事業を展開している。
京阪様では、分譲マンション入居者向けのコンタクトセンターを設置し、マンションごとに異なる受付時間や連絡窓口を京阪様と電話受付業務委託企業2社を合わせた3社体制で分散させて業務を運用、独自システムとExcelを併用していたため、問い合わせ内容やエスカレーション方法が異なるフローで運用されており、最終的に京阪様にて集約しExcelへ転記する作業が発生していた。
また、以前のシステムでは「顧客単位」で履歴管理ができず、20年間で蓄積された膨大なExcelデータを調査し、必要であれば社内外から資料を取り寄せ、問い合わせ対応を行っていた。加えて、アフターサービスによる点検や修繕を施工会社へ依頼する際の帳票も手動での作成だったため、業務の煩雑さや非効率さが課題となっていた。
こうした課題を解決し、顧客情報の一元化と業務効率向上を図るため、弊社のCRMクラウドサービス「iXClouZ(以下、アイエックスクラウズ)*1」を利用開始された。
システム概要と選定理由
価格・規模・機能のバランスが決め手に
今回のプロジェクトで採用されたアイエックスクラウズは、弊社の本格的なCRMパッケージである「inspirX(以下、インスピーリ)*2」をベースとしたサブクリプション型サービスだ。CRMとしての基本機能を短期間で安価に提供できる点が強みだ。
CRM導入で分散していた対応履歴を一元管理
以前は独自システムとExcelに分散入力されていた問い合わせ対応履歴を、アイエックスクラウズを導入後は、一元管理できるようになった。手動でのExcel転記の手間がなくなり、共通のデータを参照できる仕組みとなった。
CRMとCTIの連携で利便性向上
アイエックスクラウズと、クラウドPBX「BIZTEL」とのCTI連携で、着信時のポップアップやクリックトゥコール、通話録音連携などの機能が利用できるようになった。
価格と機能、汎用性の高さが選定の決め手
以前から京阪様のコンタクトセンターでは、顧客情報とそのコンタクト履歴を一元管理できるシステムの必要性を感じており、スクラッチ開発とパッケージ利用、両面から導入検討を進めていた。利用人数や必要機能、実現したい目的を鑑みて、アイエックスクラウズの機能・価格のバランスの良さを評価いただいた。また、席数の増加や、事業拡大など必要時には、インスピーリに移行し、カスタマイズが可能という汎用性の高さにも注目され、「最終的には、ほぼ一択の状態だった」とのコメントを導入担当者様からいただいている。
導入後の効果について
応対時間・工数・品質を最適化
アイエックスクラウズ導入後の効果としては、以下5つが挙げられる。
①案件単位だけでなく顧客単位の履歴管理で応対時間を短縮
以前のシステムでは、顧客とのコンタクト履歴を案件単位でしか残せていなかった。顧客単位で履歴をさかのぼるには、膨大な量のExcelデータを掘り起こす必要があった。しかしアイエックスクラウズ導入後は、「顧客単位」でのコンタクト履歴が一括で管理できるようになり、応対時間が大幅に短縮された。
②1件当たりの平均処理時間(AHT)が半減
アイエックスクラウズ導入により、問い合わせ対応のプロセスが大幅に簡略化された。例えば、入居者から「壁に傷をつけてしまい修理したいので、新築時の壁紙のメーカーと品番を知りたい」という問い合わせがあった場合、従来は以下の4つのステップが必要だった。
1 入居者からの問い合わせ受付 |
2 壁紙のカラーをヒアリング |
3 該当する壁紙をリサーチ・特定 |
4 入居者へ壁紙情報を連絡 |
特に、3のリサーチ作業には時間を要し、応対時間の長期化につながっていた。しかし、導入後は物件ごとの建材や住宅設備の情報をクラウドサーバーに集約し、そのURLをアイエックスクラウズに添付する運用に変更。電話受付業務委託企業含め担当者はすぐに資料を参照できるため、リサーチ時間が削減され、1~2回の通話で応対が完了するケースも増加した。その結果として、従来4ステップ必要だったプロセスが、2ステップ程度に短縮され、1件あたりの応対時間は約半分に削減された。
③コンタクト履歴共有の強化で迅速な応対を実現
京阪様のコンタクトセンターでは、案件ごとに専属の担当を置いていない。履歴管理が不十分であった以前の状態では、「案件の内容を知る担当者」を待たなければ適切な回答ができなかった。アイエックスクラウズ導入後は履歴管理機能が強化され、応対内容が共有されるようになった。どの担当者であっても適切な回答を提供できるため、リードタイムの短縮につながっている。
④CTI連携で通話録音の確認がスムーズに
既存のPBXであるBIZTELとCTI連携を行うことで、通話録音の確認が容易になった。以前は管理者権限でログインしたうえで、格納された通話録音を探す必要があった。アイエックスクラウズ導入後は、発行されたリンクからすぐに通話録音が特定できる。通話録音の特定作業が不要になり、難易度が高く重要な問い合わせを、管理者がすぐにフォローできるようになった。
⑤帳票作成の自動化で工数を大幅削減
京阪様は、アイエックスクラウズの帳票テンプレート機能を活用し、CRMに登録されているデータを反映した帳票出力の自動化を実現。従来は応対履歴を確認しながら手動で、アフターサービスによる点検や修繕を委託する施工会社に送付する帳票を作成していたが、部屋番号・名前・電話番号や不具合内容などの再入力と煩雑な確認作業が不要になり、工数は約10分の1に削減された。
今後の展望
グループ会社や委託先とも情報共有、連携強化へ
京阪様では現在、マンションなどの不具合情報を地域スタッフが直接確認している。今後は、専有部・共用部を問わず不具合情報を一元管理し、管理会社や施工会社とも連携を強化していきたいという考えをお持ちだ。弊社も今後、運用支援や機能拡張の提案を通じて、これまで以上に京阪様のビジネスをサポートしていく予定だ。
*1 コンタクトセンター業務に特化したCRMソフトウェア「インスピーリ」をベースにあらゆるチャネルからの顧客情報をためて、つないで、活用する、コンタクトセンター業務に特化したオールインワンのCRMクラウドサービス。初期費用無料、短期間・低価格での導入が可能なサービスで、インスピーリ導入前のお試しとしても活用可能。
*2 コンタクトセンター業務に特化した、本格的なCRMソフトウェア。規模や業種を問わず導入でき、あらゆるチャネルに分散したコンタクト履歴を一元管理。顧客の声を蓄積・共有・活用し、対応品質の向上を支援。直感的で分かりやすいUIにより誰でも簡単に操作でき、柔軟な外部連携機能を備えているため、応対処理や情報検索・閲覧を一つの画面でスムーズに。