ジャパンベストレスキューシステム株式会社 様

CRMパッケージをベースにモバイルシステムとWEBグループネットを活用したコールセンターの受付システムを構築、業務効率化と情報統合化を実現

 生活トラブル解決の総合サービスを提供するジャパンベストレスキューシステム株式会社様(以下、JBR様)は、コールセンター業務の効率化に加え、事業規模拡大や新規事業の立上げを迅速に行うべく受付システムの刷新を決定、バーチャレクス・コンサルティング(以下、バーチャレクス)が提供するCRMソフトウェア「inspirX(以下、インスピーリ)」をベースに、機能統合した受付システムおよび現場の作業情報を登録するモバイルシステム、受付・作業内容をネットで確認できるウェブシステムの構築に至った。


ジャパンベストレスキューシステム株式会社
今回の取材にご対応いただいたJBR コンタクトプラットフォーム カンパニー長 打田様

導入企業 会社概要

会社名:ジャパンベストレスキューシステム株式会社
創 立:1997年2月
本 社:愛知県名古屋市中区
業 種:生活トラブル解決に関するサービスを総合的に提供

 JBR様は「困っている人を助ける」という経営理念のもと、日常生活で起こりうる身のまわりのトラブルを解決する事業を展開、確かな技術と接客マナーを身に付けたサービススタッフが、全国どこへでも駆けつけることができるインフラを構築・活用し、様々な生活サポートを提供している。また、昨今では主力事業である会員事業の新たな取り組みとして、会員向けに「会員証アプリ」の配信を開始、アプリにWEBカメラ機能や自己解決動画を搭載し、迅速なトラブル解決支援により、更なる顧客満足度の向上を図っている。

導入サービス・製品
顧客対応業務支援(CRM)ソフトウェア inspirX (インスピーリ)
導入部署 / 規模
コールセンター(24時間・365日)及びバックオフィス / 約250席
適用業務
個人向け生活トラブル対応・会員制サービスの受付業務、不動産会社等法人の管理・受付業務、現場作業スタッフ手配業務 など
CRMシステム導入
までの背景
  • 既存コールセンターで使用している複数の受付システムを統合し、今後の事業の拡大に対応可能な拡張性の高いシステムを構築したい
  • コールセンタースタッフとエンドユーザー、提携法人、現場で作業を行うサービススタッフの間で、必要な情報連携を機能化し、作業効率と、対応処理の速度向上を図りたい
  • モバイルやウェブシステムの活用で、情報共有や報告業務など後処理業務を効率化したい など
導入後の成果
  • 各サービスの受付業務ごとに分かれていたシステムを、インスピーリをベースに機能統合し、モバイルシステムを連携・活用することで、情報共有がスムーズにできるようになり、全体的に業務の効率化が図れるようになった
  • トラブル解決の現場作業の依頼や、報告書の作成・情報共有が、モバイルシステムを活用することで効率化され、Fax用紙の使用枚数がシステム構築前の5分の1に削減された
  • AWS(アマゾンウェブサービス、以下AWS)上に構築した事で業務展開がしやすくなり、実際に九州エリアに新たなコンタクトブースをスピーディに展開する事ができた

システム構築の背景と狙い

受付業務の特徴ごとに異なる複数システムの機能を統合し、業務効率化と自動化を促進したい

 JBR様はWEBやタウンページなどから問い合わせが入る「生活救急車」などの個人向けサービス、「不動産ビジネスサポート」「あんしん入居サポート」などの法人向けサービス、また、グループ会社で展開する賃貸住宅入居者向け家財保険や家電・住宅設備機器の保証事業など、日常生活で発生する様々なトラブルを解決するためのサービスを、グループ全体で、総合的に提供している。
 それだけにコールセンターで行っている受付業務は、多岐に渡り、以前はその業務の特性にあわせて、複数の受付システムを利用することを余儀なくされていた。
 受付業務領域は、大きく分けると以下の3領域である。

  • ①一般個人顧客からの水漏れ、鍵の紛失など生活トラブルへの問い合わせ対応、駆けつけのサービスを提供
  • ②生活トラブルサポートをパッケージ化した会員向けサービスを提供
  • ③不動産企業等の管理業務の一部として受付業務を受託

①~③はいずれも、JBRグループ内で事業領域がわかれており、①は顧客情報や、顧客とのコンタクト履歴が重視され、②や③の場合、会員情報であるとか、クライアントである不動産企業からの物件情報など、基盤となるデータベースが重視されるといった具合に、業務ごとに必要な情報が異なるため、これを踏まえつつ、受付システムを刷新する必要があった。また、システムの刷新に伴い、各関連部門や現場の作業スタッフ、クライアントとの情報共有、手動での作業の自動化を含む業務効率化の促進、そして今後の事業拡大の際にも柔軟に対応できる拡張性が期待された。

■JBR様における顧客応対履歴データ管理の違い

生活救急
グループサービス
会員制サービス 法人向けサービス
  • 水の生活救急車
  • カギの生活救急車
  • パソコンの生活救急車
  • ガラスの生活救急車
  • お庭の生活救急車
  • 住まいの生活救急車
  • 安心入居サポート・マンションライフサポート
  • 学生生活110番
  • 安心修理サポート
  • ライフサポートパック
  • 暮らしサポートセット
  • dリビング
  • 不動産向け
    スーパーコールセンター
  • リペアサービス

導入後の効果について

作業対応依頼業務がシステム化され、センターからの発信件数が既に30%以上削減

 JBR様のサービスの流れは、基本的に以下の通りである。
①お問い合わせに対応
②お問い合わせ内容に対応可能な現場作業スタッフを探し、現場へ派遣、トラブルを解決する
③法人クライアントへの受付・作業報告
 新システム構築後、それほど経過しているわけでないが、すでに業務効率化を実感できているのは②の「現場作業対応依頼」の部分と、③の「作業完了の報告」の部分であるようだ。
 まず②の「現場作業対応依頼」については、日本全国から寄せられるトラブルの内容に応じて、コールセンターで、現場に派遣する作業スタッフの手配を行う。
 新システム構築前は、エクセルで作成した登録業者一覧を参照し、現場に近く、トラブル解決の内容にマッチングする業者に一件ずつ架電し、所定の時間に作業可能かどうかを確認していた。これはなかなか煩雑な業務であった。
 新システム構築後は、これまでエクセル管理であった登録業者をシステムのマスターに登録、顧客情報とマスター情報を元にマッチングする業者を自動検索し、モバイルシステムを利用することによって「いつ」「どこで」「どんなトラブルの対応が必要か」を一斉配信することが可能になった。これにより②については作業の日程調整などがシステム化され、センターからの発信件数が既に30%以上削減されるなど効果が出ている。
 次に③の「作業完了の報告」については、これまで現場スタッフが手書きの作業完了報告書をFax送信若しくはメール送信し、作業の現場写真もメールに添付して送付、それをコールセンターでまとめて、クライアントに報告を行っていた。
 システム構築後は、作業が完了した時点ですべてインスピーリにデータが集約され、WEBのグループネットシステムを通して、現場スタッフがモバイルで入力した報告書をクライアントが直接閲覧することも可能になった。(下図参照)
 この改善により、Faxの利用が減り、月5,000~6,000枚だった紙の使用枚数を、5分の1に削減、作業写真の送信メールも月7,000~8,000件あったものが4分の1に減少したという。これは現場スタッフの作業工数も削減された事を表している。
 今回のシステム刷新に携わったJBR コンタクトプラットフォーム カンパニー長の打田様からは「作業をお願いしているスタッフの方も一つの端末で、報告書作成や事務処理を完結させることができますし、弊社管理部門のマネージャーからも、間接的な業務は大分効率化されたという報告を受けています。」と一定の評価をいただいている。
 また、その他にも「AWS上に構築したことにより、九州など、名古屋以外の場所での業務展開が格段にしやすくなった。BCP観点からも良いことであるし、事業としても広げやすくなりました。」というコメントをいただいている。

システム概要

システム概要インスピーリ導入を期に入力画面を共通化、セルフカスタマイズ機能で業務ごとの入力項目変更が可能に

 「インスピーリ」は、バーチャレクスが自社のコールセンター運営経験をもとに開発したCRMパッケージソフトウェアである。
 今回は、この「インスピーリ」をベースに「複数ある受付システムを統合したい」「マニュアル処理の削減と業務効率化の促進」「今後の事業拡大に対応しうる拡張性の担保」というJBR様の要望を考慮しつつ、統合受付システムを刷新、さらに現場の情報を登録するモバイルシステム、作業依頼内容をネットで確認できるWEBグループネットの構築に至った。(下図参照)
 業務数が多いため、入力画面を共通化することが困難であったが、インスピーリ導入を期に、入力画面を共通化、セルフカスタマイズ機能で、ユーザー自身が業務ごとに入力項目を変更することが可能になった。

今後の展望

ビジネス環境の変化が激しい中、新たなITのトレンドに、どう対応していくかが今後の課題今後の展望

 「今回、システムを刷新したことで、新たな問題もでてきています。例えば、トラブル対応のための業者手配。マッチングした業者に案件を一斉送信できるようになってから、これまでのような1対1の関係ではなくなっています。今後は手配状況や、各業者の作業や応対品質の評価をどう数値に反映して、お互いにWinWinの関係を作っていくかが課題です。また、会員系アプリや、新しい技術がどんどんでてくるので、それにどう対応していくか。現状は、やっと一番影響の大きな受付システムを刷新したばかり。これからも、長期的に費用対効果をみながら、次に、何をどうインスピーリと連携させて行くのか考えていく必要があります。
 打田様は、最終的にバーチャレクスにシステム構築を依頼した経緯について、実現性や費用感が適切だったということ以外に「プロジェクトも長期間にわたるため、ビジネス的に一緒にやれそうだと思えたところが大きかった。」という理由をあげられた。
 その期待を裏切ることなく、今後も我々バーチャレクスは全力でJBR様のビジネスの発展を支えていく。